明けましておめでとうございます。2023年「ウサギ」年の年頭挨拶をお送りします。

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(「いらすとや」 http://www.irasutoya.com/ の素材を利用しています)


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兔年の新春を迎えて~年頭の挨拶

安保法制違憲訴訟弁護団 金馬 健二  .

. 2022年の漢字は「戦」であった。ウクライナ侵攻により、多くの人々の生命が理不尽に奪われ、生活が危殆に瀕する悲惨な事態が続き、また、安保法制法によって、台湾有事、北朝鮮有事が我が国の安全を脅かす危険が生じている。岸田内閣はそのような事態を口実にして、増税によるGDP2%までの軍事費増、軍備増強、反撃能力(敵基地攻撃能力)の整備等を強権的に決定した。憲法違反の安保法制法のレールの上をさらに暴走し、憲法を無視し、専守防衛すらかなぐり捨てようとしている。その結果、中国等の敵対心を煽るのみならず、我が国は世界3位の軍事大国となり、先制攻撃も辞さない戦争大国として各国から警戒されることになる。
. 米国が戦争を始めれば、安保法制法に基づき存立危機事態が生じたとして、我が国が米国の敵国を攻撃することとなり、これに対する反撃は必至であるから、自ずから武力攻撃事態となって、我が国は戦争当事国となる。私たちは、安保法制法が我が国を戦争に巻き込む具体的危険性を孕むことを指摘して、その廃棄を求めてきたが、その危険性は現実的なものとなりつつある。戦争を想定して,既に南西諸島では、臨戦態勢が準備されつつある。
. いくら軍備が増強されても、多数のミサイルが撃ち込まれるなどして、多くの尊い命が奪われ、生活が危殆に瀕する事態は避けられない。原子力発電所に複数のミサイルが撃ち込まれるに至れば、悲惨な事態が生じる。
. 軍備への社会資本シフトがなされると、迫り来る大地震等の災害に対する対処や、貧困化する人々(とりわけ子供たち)を救済する社会保障や、経済立て直しのための研究開発、食糧の自給体制確保は不可能となる。軍備増強によって、国民の安全、安心が守れるというのは幻想である。
. 戦争は起こってしまうと、取り返しがつかず、安保法制法のもとでは、我が国が戦争をやめることもできない。戦争は、根気強い外交努力と国民の平和への指向性を通じて起こさないようにするしかなく、国民の安全・安心を守るには、今こそ、世界に冠たる平和憲法を武器にして、平和国家としての矜持を示し、我が国が独自の立場で、当事国へ粘り強い働きをすることしかない。
. 「先が見えない世界になってきた」と異口同音に言われるが、「カオス(混沌)」は、希望的な未来になることも含んでいる。現状の目に見える既存のファクターによって科学的に将来を完全に予測できるというテーゼについては、疑問が呈されるようになってきている。与えられるファクターがわずか違っただけで、結果は正反対になることもありうるのが、カオス理論として、有力に論じられている。初期値がわずかでも変わることによって、予想していなかった結果に至るそうである。蝶々の羽ばたき程度の動きによって、歴史は変わってきたものである(バタフライ・エフェクト)らしい。私たち一人一人が、できる最善のことを熱意をもって行うささやかな営為だけで、未来は変わるということである。私たちが諦めずに、私たち自身のみならず、子や孫たちの安全・安心を確保し、幸福追求権を享受できるよう、心ある老若男女一人一人がせめて「ウサギのひと跳び」さえすれば、少なくともこの危険な流れを変えることができるのである。

(「安保法制違憲訴訟おかやま」弁護団共同代表)


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