明けましておめでとうございます。2019年「イノシシ」年の年頭挨拶をお送りします。
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(「いらすとや」 http://www.irasutoya.com/ の素材を利用しています)
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平成最後の亥年の新春を迎えて
安保法制違憲訴訟弁護団 金馬 健二 .
. 天皇陛下は,本年4月末日をもって退位されることになっており,平成が終わる。
. 天皇陛下は,「先の戦争のことを十分に知り,考えを深めていくことが,日本の将来にとって極めて大切に思います」等と先の戦争への思い,平和への思いを,節々でお語りになって来られた。この度,85歳の誕生日を迎えるに当たっても,「国民皆の努力によって,我が国は国際社会の中で一歩一歩と歩みを進め,平和と繁栄を築いてきました。」「先の大戦で多くの人命が失われ,また,我が国の戦後の平和と繁栄がこのような多くの犠牲と国民のたゆみない努力によって築かれたものであることを忘れず,戦後生まれの人々にもこのことを正しく伝えていくことが大切であると思ってきました。平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに,心から安堵しています。」と切々とお語りになっている。平成天皇は,一貫して戦禍に向き合い,心から平和を願われて,サイパン島等を慰霊のため訪問したり,沖縄の人々が耐え続けてきた犠牲に心を寄せてこられたと思う。
. 我が国は,まさに,平和憲法を武器にして,支配国アメリカからの「自衛戦争」参加への要求を拒み続け,天皇陛下のお言葉どおり,「国民のたゆみない努力によって,」この平成の終わりまでの70数年間,薄氷を踏みながらも,誰一人戦争で殺さず,誰一人戦争で命を失うことのない誇るべき歴史を築いてきた。覇権的傾向,あるいは旧態依然たる帝国主義的傾向から脱却できない周辺国に囲まれながらも,戦争をしない平和大国として,世界に冠たる地位を誇ってきた。
. ところが,明らかに憲法違反の安保法制法によって,我が国は戦争をする国へと変貌を遂げつつあり,現に自衛隊はアメリカ軍と一体化して戦争態勢をとりうる戦闘部隊に変容しつつあり,アメリカから高額な武器等を買わされ,ステルス戦闘機の発着ができる空母の装備も間近となっており,「専守防衛」すら崩れる危険が生じている。
. そのような状況の中で,「自衛隊を日陰のままに置いておいていいのか」などと受けのいい言辞で目くらましをし,憲法に自衛隊を明記して,現在の自衛隊を憲法上の機関として組み込み,司法,立法,行政とは別の機関として特別扱いをする憲法改正をして,「戦争をする国」を完成させようとする野望が日程に上っている。
. 一方で,安保法制法案の強行採決の頃は,危機意識を持ち,反対で盛り上がった世論も,状況認識を忘れてしまったかのように見える。
. 大衆社会化が進み,大衆が,「政治的中立」の名の下に,自らに突きつけられた重要な問題にも無関心となり,閉塞感を打ち破ってくれるような世界の全体像を示してくれる指導者を求め,巧妙な嘘の世界に魅了されて行く(ハンナ・アーレント「全体主義の起源」)土壌も生まれているように思われる。
. 大岡昇平の「野火」の一節が想起される。
.「戦争を操ることにより利益を得る少数の紳士諸君は別として,再び彼らに騙されたい人たちを私は理解できない。」
. その中で,私たちは,まず「忘れないこと」,そして,「自分の頭で考え続けること」,「大事なことを臆せずに語り合うこと」の大切さを自ら体現し,発信する必要がある。安保法制法違憲訴訟運動は,その一つの手段であると思う。
. イ つか来た道。戦争への道
. ノ ーと言い続けてきたはずなのに
. シ らないうちに,後戻りができなくならないように
. シ っかりと考え,たゆみない努力を続けよう。
(「安保法制違憲訴訟おかやま」弁護団共同代表)
2019/01/08. 18:15 微修正