明けましておめでとうございます。2018年の年頭挨拶をお送りします。
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(「いらすとや」 http://www.irasutoya.com/ の素材を利用しています)
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戌年の年頭に当たり、
吉野源三郎の著作がカバーされている情況について想う
安保法制違憲訴訟弁護団 金馬 健二 .
. 日本が,軍国主義化を強め,第二次世界大戦開戦への破局の道に進みつつあった1937年に,吉野源三郎が発表した「君たちはどう生きるか」が昨年漫画化されて,130万部を突破する空前のベストセラーとなっている。
. 吉野は,治安維持法事件で逮捕されて釈放後,世の中の自由が剥奪され,自己決定権までも危殆に曝されていることの危機感の中で,将来を担う若者に対して,自分の頭で考えることの大切さ,人間から最終的に奪い去ることはできない自己決定権の存在を示唆し,日本の将来を託するために,抑制的な表現で「君たちはどう生きるか」を著した。
. 特定秘密保護法,安保法制法,さらには共謀罪法等々,戦争をする国に日本を変えるための法律の制定が説明責任も果たされないまま強行され,また,マスコミ統制や,洗脳的教育化等が進む中で,表現の自由が脅かされ,「物言えば唇寒し」の言論萎縮傾向が強まっている。報道の自由について,日本は,国際評価組織から世界の国で70位を超えるという最低の評価を下された後も,さらに言論萎縮傾向は強まり,「大本営的たれ流し」報道すら目立つようになっている。
. 分析すればする程,今の日本が,1937年頃の日本の情況と似通っていることを認識させられ,背筋が寒くなってくる。
. 「君たちはどう生きるか」がブームとなるのは,人々が,意識的にせよ無意識的にせよ,時代背景を肌で感じている面があるようにも思われる。
. 吉野は,「僕たちは自分で自分を決定する力を持っている」「肝心なのは,心を動かされたことから出発してその意味をごまかさずに考えること」と訴える。
. しかし,戦争は人間として大事な自己決定権までも危殆に瀕させてしまう。
. 人々が,情況から逃げないで真剣に考えることをしないまま,垂れ流される情報を鵜呑みにして,そのまま無関心を続けるようなことがあれば,歴史的な過ちを再び繰り返すことになる。
. 130万人を超える多くの人たちが,吉野の著作に触れて,自らの頭で,情報に流されることなく,真剣に考えようとしていることは,大きな希望である。
. 私たちは,改めて,憲法や安保法制についてさらに見識を深め,自らの頭で真剣に考えようとしている若者たちに(若者に限らない),私達からの情報を発信していくことが,今,望まれている。
. 戌年の年頭に当たり、憲法の理念が人々の心に染み渡るような飆(つむじかぜ)を起こし,戦争をする国でなく,平和大国への道に軌道修正する年にしたいものと,痛切に想う。
(「安保法制違憲訴訟おかやま」弁護団共同代表)
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新年のごあいさつ
加百(かど)智津子 .
. 明けましておめでとうございます。
. 「安保法制違憲訴訟おかやま」が2016年に発足し、安全保障関連法は憲法に違反し、施行によって平和的生存権を侵害されたとして岡山地方裁判所へ提訴して早いもので2年目になります。
. 皆さまは2018年をどのような思いで迎えられたでしょうか。
. また、悪い夢でも見ているかのようだった昨年の国の動きをどのように振り返っておられるでしょうか。ことごとく民意が踏みにじられたと忸怩たる思いが拭えないのは、私に限らず多くの「心ある人々」も同じではないかと思います。
. 昨年2月には防衛省沖縄防衛局による米軍新基地建設に伴う名護市辺野古の埋め立て工事に着手、3月には陸上自衛隊南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣部隊の、破棄したと説明された「日報」が実は保管されていたこと、5月には海上自衛隊最大級の艦船「いずも」が安保法制に基づき米艦防護の任務を実施、安倍首相が憲法9条に自衛隊を明記する改憲を2020年に実施すると表明、「共謀罪」法案が衆院法務委員会で強行採決、6月には「共謀罪」法が参院本会議で可決・成立、12月に安倍内閣が閣議決定した2018年度予算中、軍事費は過去最大の5兆1911億円に!(といっても、一国民にはあまりに天文学的数字で想像もつかないのですが)
. 以上のような動きをみれば、安倍政権が戦争へと向かう道を用意周到に着々とすすめていることがわかります。年頭所感で安倍首相は、2020年の改憲を大きな課題として取り組むと述べています。
. 被爆2世の私は、「安保法制違憲訴訟おかやま」の原告として記者会見に臨んだ席で、広島の原爆に遭遇した母を思い浮かべながら、「戦争によって多くの命が奪われ、生き残った人たちも心と体に傷を負った。安保法は戦争へと進む道に他ならず、それを阻止したいと思い声をあげた」と意思表明をしました。今もその思いからは1ミリもぶれていません。
. 未来を生きる若い世代や子どもたちに戦争のない平和な未来を手渡す責任はさらに重くなっています。特に民主主義の申し子と言われ、それを謳歌してきたような私たち中高年世代こそが中心になって『AKB』魂で頑張りたいと思います。えっ、あの『AKB48』と何の関係があるの?と思われた方にお教えしましょう。「A」はあきらめず、「K」は媚びず、「B」はぶれず、というのだそうです。この言い回しは若い世代を巻き込むための秘策になるかもしれません。
. 勝訴する日を思い描いて2018年の活動をさらに前へとすすめていきましょう。
(「安保法制違憲訴訟おかやま」原告団共同代表)